裏山         5/May/2004


 ピークを迎える裏山は天候も回復。魚町は午前中に能登食祭市場前に到着した。多少風はあったが修復作業に取り掛かる。


 さすがに前日は土砂降りの雨であったため、飾りの傷みは激しい。全てを修復することは不可能に近かったが出来る限り手を入れる。


 トンガリから飾りを眺めてみる。


 大屋根に上がって飾りを修復するスタッフたち。この位置で地上からは10mを超えている。
 煌びやかな金色を最後まで維持させる為に細かな部分も直す。


 彼らは無言のまま作業するが少しずつデカ山に語りかけている様子。


 観客と同じ位置から見て気になる部分は少しでも直す。人形の髷一つも気を抜かない。親方のOKが出るまで何度も手を入れる。


 魚町デカ山の内部。今ではこのような組み方をするのも魚町だけのようだ。他の山町では一部藤を使っているもののロープで締めている部分が多い。


 この様子が伝統を感じる。こうやって組み上げるから振動も柔らかい。
 この技術が400年もの間、このデカ山を支えてきたのであろう。


 デカ山内部から子供たちの後姿を写してみた。彼らは毎年この山に上がるのを楽しみして、今何を考えているのだろうか。
 ここで見た景色をずっと忘れないで欲しいと願う。


 デカ山内部から見上げて飾りの背面を覗いてみた。
 あと少し、このまま。。。


 デカ山の舞台から足元を写す。このような足場で作業しているわけだ。一歩間違えれば当然のように落ちる。


 多くの人たちの色々な手で支えられているデカ山。
 この勇壮な姿は我々の誇りでもある。ずっと守って行きたい。


 お昼少し前、鍛冶町が食祭市場前へなだれ込んできた。勇ましい掛け声と観客たちの歓声に包まれている。


 動いているデカ山が一番面白い。デカ山の運行は多くの人に支えられているから、なおさら感慨深い。
 みんな一生懸命だから観客にも楽しんでもらえると信じる。




 府中町の屋根の上で一人修復に励むスタッフ。
 彼の山に込める思いは何だろう。。。


 どんな場所でも手を伸ばす。身の危険を顧みない姿勢は立派だがちょっと危なっかしいぞ。。。


 鍛冶町に乗って内部を確認。人形周辺は特に問題が無い。

 個人的に本能寺は火のイメージが強い。前日の雨では信長の苦渋もかき消されるだろうが歴史的な一こまはこの場に生きている。


 御祓川仙対橋へ集まるデカ山。
 大勢に曳かれるがなかなか言う事を訊かない。


 魚町木遣衆


 「さあ、羽梃子だけで山を回すぞ!」
 そんな声は誰も出さないがみんなの意識は一つ。


 曳いて曳いて、押す
 ここで力がはじける。巨体は誘われているように滑って進む。

 仙対橋前はちょうど上り坂になっている。ここを地車無しで方向転換させるにはかなりのパワーが必要になる。毎年やってのける彼らはすごい。


 勢ぞろいしたデカ山
 アトラクションが行われて、それぞれの町へ引き返す。寂しい時間だ。


 毎年魚町の終了時に立ち会う。みんなそれぞれ笑顔だが寂しそう。
 ここで祭りが終わると思うと涙も出そうになる。
 また来年、この大きな祭りを支えたい。