若葉が薫る5月になると七尾では恒例として青柏祭が執行されます。
この青柏祭の曳山行事は大変古い伝統を継承し、昭和58年には重要無形民俗
文化財に指定されています。
「でか山」と呼ばれる巨大な山車には、舞台飾りの場面のどこかに一本の若松
を立てて、神々の降臨を仰ぎ、業務の発展や諸々の悪疫の退散を祈り、併せて豊
かな日々の暮らしをも祈念します。
このように来る年毎に神々を迎え入れて祈念する美しい習慣が、何百年か伝え
られていることは、七尾の人々の大きな誇りの一つでもあります。この「でか山」
には、私たちが社会生活を営む上で大切な心の持ち方を教えている古い芝居の名
場面を飾って、その年の心がけの一つとしています。
はじまり:
この祭りはかなり古くから行われていて、言い伝えでは、平安時代の天元4年
(981年)に時の国主源順(ミナモトノ シタゴウ)が能登の国祭りと定めた
のが始まりと言われる。曳山が文献上確認できるのは約300年前の貞享2年
(1685年)であり、江戸時代の一時期に曳山の高さは18mもあった。
七尾市内の「魚町」「鍛冶町」「府中町」がそれぞれ山車を担当する。
町ごとの勇壮さを競うのもこの祭りの面白さである。
みどころ:
狭い町角で巨大な曳山を方向転換させる「辻回し」のシーンは見逃せない。
掛け声も勇ましく長さ8mの大梃子に若連中が鈴なりになって曳山の前車輪を
浮かせ、地車を入れて辻を曲がる。
山車は高さ12メートル、重さは約20トンになります。
行事日程:
5月2日;人形見
夕刻から曳山の舞台に飾り付ける歌舞伎人形を市内の慶祝の家(人形宿)に飾り、
見物人は人形宿を巡回して前夜祭気分を味わう。人形宿は軒に長幕を張り、庭を
築いたり、盆栽、生け花、置物などの珍品、名品を調えて準備し、人形の前には
古式による神餅が供えられる。
5月3日;宵山
飾り付けをした鍛冶町の曳山は、清祓いをしたあと、午後9時頃、鍛冶町の辻を
曳き出し、大地主(おおとこぬし)神社へ向かう。待ちに待った祭りの始まりで
ある。宵山を曳いた後、祭り好きな市民は府中町の朝山を曳きに行く。
5月4日;朝山・本山
午前零時になると、府中町では氏神の印鑰神社(いんにゃくじんじゃ)で清祓い
が行われ、次第に朝山の興奮が高まる。午前1時を過ぎると、待ちかねた大群衆
によって神社前から曳き出される。あまりの曳き手の多さに、曳行速度は速まり、
スリル満点となるのも見所のひとつといわれ、大地主神社に到着するのは、あた
りが明るくなった7時頃である。
本山の魚町見附曳き出しは、午前8時頃で正午に大地主神社に到着、3台の曳
山が揃う。この後、大地主神社で青柏祭奉弊の儀式が行われ、午後1時頃から魚
町、府中町、鍛冶町の順にそれぞれの町に曳き帰り、夜見世をする。
5月5日;裏山
3台の曳山が食祭市場の臨港道路に揃ったあと、市内中央を流れる御祓(みそぎ)
川畔に再び揃うのは午後2時頃で、仙対橋の特設舞台では多彩なアトラクション
が催される。なごりを惜しむ見物人を楽しませた後夕刻それぞれの山町に戻り、
三日間にわたる祭りは終了する。
この祭りにはきちんとした分担があります。
あの高さ12メートルにも及ぶ巨体をくぎ1本も使わず組みあげる部隊と、毎
年歌舞伎や歴史上の名場面を再現した人形と背景を作成する部隊と市内を曵きま
わす部隊です。
5月2日までに20トンの巨体はしっかりと組みあがり、「飾り」と「人形」
を待ちます。3日朝から「飾り」の取り付けにかかりました。何せ高さ12メー
トルですのでてっぺんは私には無理です。ちょうど三階建ての家ぐらいの高さで
飾り付けを担当することになりました。と、ひとことで言っても足場の悪い岩場
みたいなものですから、不安定でしかたありません。
慣れない作業で午前中の予定を完了し午後から人形の取り付けです。昨晩から
「人形宿」に飾られていた人形を回収し山車に飾り付けます。ほぼ等身大の人形
を担いではしごをのぼり、心棒に縛り付けます。そしていよいよ祭りが盛り上が
ってきます。
宵山から始まる祭りは朝山、本山と続き、市内を練り歩く山車は、電柱にぶつ
かったり、街灯を倒したり想像もできない激しさをいきなり見せてくれます。こ
の中、府中町と魚町の山車を担当した私はそれぞれの山車の飾りや人形が最後ま
で安定するように見張りを続けます。時には観客と同じ位置から、時には上から
細かい部分までチェックします。と、いうのも激しい動きなだけに飾り付けてい
る縄やくぎがだんだんゆるんだり、子供たちのいたづらで故意に外されたりする
ことがあるからです。
そして万が一の雨には人形にビニールをかぶせる作業がまっています。
下から見上げる分には勇壮な山車ですが、中は蔦やロープで支えられた大きな
「積み木」です。そして「足場」の不安定。これらは外からはなかなかわかりま
せん。七尾の子供たちは毎年上まで登ることにスリルと快感をおぼえて盛り上げ
てくれます。
是非機会があれば来てください。そして上まで登ってください。知らない世界
を垣間見ることができますよ。きっと。。。